核融合の仕組みは?核ミサイルへの応用方法について
核融合や核ミサイルという言葉を耳にすることが増えてきていると思いますが、実際にどんな仕組みでエネルギーを生んでいるのか知っている人は少ないのではないかと思います。
核兵器など、危険な使い道の方が話題になってしまう「核」ですが、核融合で発生するエネルギーを利用した発電など、わたしたちの生活に役立つ場面もあります。核融合に関しては国も重要なエネルギー源として研究・開発を進めています。
今回は核融合の仕組み、核ミサイルの仕組みについて、初めての方でも分かりやすく解説します。
核融合の仕組み
核融合は宇宙空間の中でも頻繁に起こっている反応で、太陽や星も核融合反応によるエネルギーで燃えています。
核融合とは、非常に簡単に言うと軽い原子がくっつき、重い原子に変わることを言います。軽い原子がくっついたとき、とても大きなエネルギーが生まれるので、それを利用して電気を起こしたりすることも出来ます。イメージで考えると、核融合は人工的に小さな太陽を作り出すことなのです。
ここで利用する原子は、水素の原子です。正確に言うと、水素の仲間である重水素、三重水素を利用しています。水素は非常に軽くて手に入りやすく、核融合を起こしやすいので、よく使われています。
核融合は環境問題を解決する
核融合はいわゆる「環境に優しい」エネルギーとして言われることもあります。その理由は何なのでしょうか。
核融合は他の発電方法と異なり、化学反応によって二酸化炭素を発生させません。また、核融合の材料となる水素の仲間(重水素)は海水の中に存在しています。
重水素があるのは海水のうちほんのわずかですが、世界中に海水はたくさんあるので重水素を使いつくすことはほとんど考えられません。雨が降ることも考えると、この地球から重水素が無くなることはないでしょう。
核融合は自然の資源にほとんどダメージを与えず長期的に利用出来て、二酸化炭素を発生させない、非常に優秀なエネルギー源だと言えます。
核融合は新しいエネルギー
核融合による発電と聞くと、「それって原子力発電のこと?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、現在の原子力発電と核融合による発電は全く別のものです。
原子力発電では「核分裂」という反応を使ってエネルギーを作っています。核分裂とは簡単に言うと核融合の逆で、原子が分裂することです。
しかし、分裂の際、取りたいエネルギー以外にも様々な元素が出てきてしまいます。この元素の中にはウランなど強い放射性を持つものもあり、これが放射性廃棄物となり現在問題となっているのです。
一方核融合による発電では放射性廃棄物が発生しません。核融合発電の実用化はまだ先ですが、いままでの発電方法の欠点を補う、よい方法になりそうですね。
核融合を活用した核ミサイルの仕組み
非常に便利な核融合ですが、とても大きなエネルギーを発生させるため、悪用しようと思えばできてしまうのも現実です。
核融合を利用した爆弾は、水素爆弾と言われています。先ほど説明したように、原子がくっつくときのエネルギーを利用して、大きな爆発を起こします。
しかし、この核融合を起こすためには約一億度もの温度に加え、高い圧力が必要となります。もちろん、通常の火薬や石油ではとても核融合を起こすことは出来ません。そこで核ミサイルで核融合のエネルギーを活用するためには、水素爆弾とともに原子爆弾を載せて置くことが必要になります。
原子爆弾は、水素爆弾と異なり核分裂するときのエネルギーを利用して爆発を起こします。核ミサイルはまず着弾することで原子爆弾が爆発し、爆発による高温、高圧を利用して水素爆弾が爆発する、という仕組みになっているのです。
水素爆弾と原子爆弾、二重に爆発を起こすことで核ミサイルの破壊力は非常に大きなものになり、かつての原爆をはるかに超えるエネルギーを持ってしまいます。
もし核ミサイルが東京都心に落ちたら?
もし現在、核ミサイルが東京都心に落ちたらどのようなどれほどの被害になるのでしょうか。
アメリカの研究機関、「38ノース」の発表によると北朝鮮から発射された核ミサイル一発が東京都心に落ちてしまった場合、死者約70万人、負傷者約247万人にまで上ると言います。最悪の場合、死者が180万人にもおよぶことも考えられるそうですので、その被害は甚大だと言えます。
核ミサイルが落ちてくると、爆風、衝撃波で建物が損傷し、そのがれきや窓ガラスの破片などで負傷することも十分考えられます。
また、致死量の放射線を浴びてしまうと、直接爆風を受けていなくても死に至ります。爆発後、放射線はかなり広範囲に広がりますので、有事があった際は核シェルターなど安全な場所に避難する必要があるでしょう。
いかがでしたでしょうか。核融合と核ミサイルについての知識をさらに深めることで、有事の際の計画も立てやすくなります。核ミサイルによる被害を防ぐには、家庭用の核シェルターを買っておくなど、核兵器向けの具体的な対策が必要になります。
また、核融合に関するさらに詳しい解説は文部科学省の公式HPなどにも載っていますので、気になる方はぜひそちらもチェックしてみてくださいね。